税理士法人Ambitious

会社設立後に必要な『税務手続き』を把握しておこう

21.05.25
ビジネス【税務・会計】
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定款の作成や設立登記などを行い、晴れて会社を設立した後も、実際に法人として運営していくには、税務関係、労働・社会保険関係のさまざまな届出が必要となります。
このうちもっとも提出する書類が多いのが、税務関係の届出です。
届出に関しては、要件や書式などが細かく決まっており、書類によって提出期限も異なるため、注意が必要です。
今回は、経営者なら知っておきたい、会社設立後に必要となる税務手続きについて紹介します。
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法人設立後に税務署に提出が必要な書類

会社設立後に必要となる税務関係の届出書類には、一般的に、『法人設立届出書』を筆頭に、『青色申告の承認申請書』『給与支払事務所等の開設届出書』の3つがあります。
法人によっては、このほかの書類が必要となるケースもありますが、まずはこの3つについて、確認していきましょう。
いずれも提出先は所轄の税務署となります。

●法人設立届出書
会社を設立した事実や代表者氏名、事業所の所在地、事業の目的など、いわゆる会社概要を税務署に届け出るためのもので、税務関係の書類のなかでは最も基本的な書類です。
添付書類の『定款、寄付行為、規則又は規約等の写し』とともに、会社の設立の日以後2カ月以内に提出しなくてはなりません。
提出すると、税務署から税金関連の書類が送られてきます。

●青色申告の承認申請書
確定申告の際に青色申告を行うための書類です。
確定申告には白色申告と青色申告があり、青色申告を選択すれば、少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入や欠損金の繰越控除、欠損金の繰り戻し還付などが受けられるメリットがあるため、こちらを選択する会社がほとんどでしょう。
青色申告をするためには、前もって青色申告の承認申請書を提出して承認を受ける必要があり、提出しない場合は自動的に白色申告になります。
申請書の提出期限は、会社設立の日以後3カ月以内もしくは最初の事業年度の終了日のうち、いずれか早い日の前日までとなります。

●給与支払事務所等の開設届出書
会社が従業員に給与を支払う際に、源泉徴収をするために必要な書類です。
事務所を開設した日から1カ月以内に届け出る必要があります。


法人設立届出書は自治体にも提出が必要

なお、『法人設立届出書』の提出先は、税務署だけではありません。
法人住民税や事業税などの地方税を納めるために、各都道府県の所管の県税・都税事務所と、市区町村役場にも提出しなければなりません。

提出に関するルールは自治体ごとに定められているので、それに従うようにしましょう。
たとえば、東京都の場合、『定款、寄付行為、規約等の写し』と『履歴事項全部証明書の写し』を添付し、事業を開始した日から15日以内に提出するよう定められています。


特例を受ける場合に提出が必要となる書類

以上にあげた書類のほか、特例等を受けたい場合などに任意で提出する書類として、以下のようなものもあります。

●源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員が常時10人未満の会社は、給与や賞与、税理士等の士業に係る源泉所得税を、半年に一度の納付とする特例を受けることができます。
申請書の提出先は所轄の税務署で、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。

●棚卸資産の評価方法の届出書
自社がどの方法で棚卸資産を評価するのかを税務署に知らせるためのもので、提出しない場合は自動的に『最終仕入原価法』で評価することになります。
届出書は、最初の事業年度の確定申告書の提出期限までに、所轄の税務署に提出します。

●減価償却資産の償却方法の届出書
自社がどの方法で減価償却資産の償却を行うのかを税務署に知らせるためのもので、提出しない場合は機械装置や車両運搬具、器具備品は自動的に『定率法』を採用することになります。
法人の減価償却の方法については、機械装置、車両運搬具、器具備品などは定額法と定率法のいずれかを選択でき、建物、建物付属設備、構築物、ソフトウェアなどについては定額法で行うことが決められています。
届出書は、最初の事業年度の確定申告書の提出期限日までに、所轄の税務署に提出します。

会社設立の際の届出は記入すべきことが多く、手間がかかりますが、役所側から催促されることはないため、経営者自身が忘れずに提出しなければいけません。
提出すれば節税効果が見込めるものもありますから、記入漏れなどがない状態で期限内に提出できるように、しっかりと準備をしておくことが肝要です。


※本記事の記載内容は、2021年5月現在の法令・情報等に基づいています。