税理士法人Ambitious

国際離婚は大変!? 国ごとに異なる離婚事情とは?

20.01.28
ビジネス【法律豆知識】
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結婚するときは、いつか離婚するかもしれないなどとは考えないものです。
しかし、絶対に離婚をしないとは言い切れません。
離婚に使うパワーは大変なものです。
しかも、相手が外国人だった場合、精神的な面だけでなく、法律的にも金銭的にも日本の離婚以上のパワーが必要になってくるかもしれないのです。
そこで、万が一の場合に備えて、国際離婚の現状を紹介していきます。
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離婚届を提出しても離婚できないケースも

日本では、夫と妻が話し合って離婚する結論に至った場合、役所に離婚届を提出すれば離婚が成立します。

ところが、外国のなかには、宗教上の理由から、そもそも離婚することが認められていない国もあります。
また、離婚自体は認められていても、日本のように話し合って離婚する方法は許されておらず、常に裁判によらなければ離婚することができない国もあります。
さらに、離婚するときに決めなければならない子どもの親権は、日本では父か母の一方による単独親権が認められていますが、先進国の多くは、離婚後も共同親権とするように定められています。

このように、離婚の条件や手続は、国によって全く異なりますので、日本人と外国人が離婚する場合は、まず、どの国の法律に従って離婚をするのかを確定しなければなりません。
これを、『離婚における準拠法の問題』といいます。

この問題、少し厄介なのは、たとえ日本法では離婚することができたとしても、相手の国で離婚が成立するかどうかは別問題だ、ということです。
日本では、離婚が成立してフリーになれたとしても、相手の国では婚姻関係が続いたままで再婚できない、ということもあるのです。
相手の国でもフリーになりたければ、相手の国で改めて離婚する方法を検討しなければなりません。


日本で裁判しても離婚できない場合とは?

また、裁判所を利用して離婚しなければならない場合も、日本の裁判所に訴えたからといって、必ずしも判断してくれるとは限りません。
相手が日本に住んでいれば、日本の裁判所に訴えて判断してもらうことは可能です。
しかし、相手が日本に住んでいない場合、こちらが、当事者の公平や裁判の適正・迅速の観点から、日本の裁判所で判断すべき必要性と許容性を主張して認めてもらわない限り、日本の裁判所で判断してもらうことはできないのです。
これは、どの国の裁判所に離婚を求めて訴えればよいかという問題で、『離婚における国際裁判管轄の問題』といいます。

外国の裁判所で裁判をするのは、日本で裁判をするよりも負担がかかります。
言葉の問題はもちろん、法律や慣習も日本と異なります。
そのため、まずは在日大使館で情報を集めたり、日本の弁護士にその国の法律について調査してもらったり、現地の弁護士を探し出して相談・依頼したりしなければならず、手続ややり取りに時間を要することも多いため、予想以上に時間とお金がかかります。
日本では、弁護士とスムーズにやり取りしていた人でも「外国の弁護士とは、お金がかかるので相談事が溜まってからしかできない」「時差があるので夜中に相談するしかない」「夕方5時以降は弁護士と連絡が取れない」などという声も多く聞かれます。

このように、日本で国際裁判管轄が認められなかった場合の不利益があまりにも大きすぎるため、日本の裁判所でこの問題を争ったときには、本題である離婚の問題になかなか行きつかない、ということもあります。

ただでさえパワーを要する離婚ですが、これが『国際離婚』となると、精神面に加えて、法律的にも金銭的にも、想定外の事態に陥るリスクがいくつも存在します。
結婚はたやすくとも、離婚は非常に大変です。
専門家の力も借りながら、少しでも負担を軽くしたいものです。


※本記事の記載内容は、2020年1月現在の法令・情報等に基づいています。