石田勝也税理士事務所

診療情報提供書は既往症の書き忘れに気をつけよう

16.07.08
業種別【医業】
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先生方は、患者を紹介した病院宛の診療情報提供書の既往症欄を詳細に書いていますか?

父親の経営していた内科クリニックを承継して10年になるA先生が、診療情報提供書の“うっかり”経験を話してくださいました。
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A先生のクリニックに勤務する看護師Bさんが、病院嫌いの父親をクリニックに連れてきました。咳が止まらない状態が半年続いているとのことで、胸をレントゲン撮影したところ、右の肺に影が発見されました。 

「大きな病院で精密検査を受ける必要がありますよ」とお話しし、A先生はその場で紹介状と診療情報提供書を書きました。

そして、紹介先の病院で、Bさんの父親は肺がんと診断され、化学療法を受けることになったのです。 

3ヵ月後、A先生は、Bさんから「がん治療の副作用で、父親が糖尿病を発症した可能性がある」と聞き、「えっ!」と驚きました。 

実はA先生が診察したとき、Bさんの父親は胸の影のほかに明らかな高血糖が判明していました。以前から糖尿病だったのです。

かかりつけの患者さんではなかったことから、診療情報提供書を書くときに、既往症として「糖尿病の疑い」を記入し忘れてしまったのです。 

A先生は書き忘れの件を、紹介先の主治医に連絡すべきではと考えました。 

「医療活動において発症の経緯は正しく記録されるべきだと思います。一方で、Bさんの父親は家庭の事情で転院されたと聞いていました。発症経緯で糖尿病の治療内容が変わる症例ではなく、紹介先の主治医と気軽に電話で話せる関係でもありませんでした。そのため当初は、連絡をしないつもりでしたが、結局、連絡することにしました」 

A先生はこの経験以来、診療情報提供書を書くときはより一層の注意を払うようになったそうです。


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[プロフィール] 
藤原恵子(ふじわら・けいこ) 
医療系出版社の編集記者を経て独立。フリーの医療ライターとして、病院経営、開業ノウハウ、医療マーケティング、医療ボランティア、医療職のキャリアアップや結婚事情などをテーマに医療関連雑誌で取材・執筆活動を行う。書籍では、病院ランキングや医療マンガの取材協力、看護・介護関連書籍では『イラストでわかる高齢者のからだと病気』(中央法規出版)の企画・編集に携わる。趣味は人の話を聞くこと、古文書解読。 
 


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