石田勝也税理士事務所

かかりつけの患者と認定する通院頻度ってどのくらい?

16.05.06
業種別【医業】
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先生方は、どのくらいの頻度で通院されたら、「かかりつけの患者さん」と認定されますか?

内科クリニックを開業して7年目になるB先生から興味深い話をうかがいました。
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70代の男性患者Aさん。開業以来、毎年Bクリニックに通院しているのですが、通院頻度は年1回なのです。必ず「大したことないけど気になって」という前置きがありました。

1年目は「足の爪がおかしい」という相談。2年目は「右肩が痛い」と来院。3年目は「口を開けると耳の奥で1回だけ音がした」という訴え。4年目は「足の裏のほくろが気になって」とのことでした。

毎回、前置きの通り、大したことがなく、処方も再診もないという状況が6年続き、今年で7回目の受診となりました。 

Aさんの訴えは、「両手を“前へ習え”すると右手の上がり方が少しだけ低い」というものでした。 

念のため、すぐに総合病院を紹介したら、紹介先で歩けなくなり、脳梗塞と診断されました。毎年大したことない症状でBクリニックに通院していたAさんですが、7度目の正直で重大な疾患の前兆をつかんだのです。 

診断が早かったため、障害が残ることもなく退院されたとのことですが、B先生はヒヤッとしたと振り返っておられました。 

「7年も通院されると、Aさんが高血圧と爪水虫で、近所の別の内科と皮膚科をかかりつけにされていることもわかってきました。当院では年1回、大したことがない症状ばかりで、専門外の訴え。受診のたびに、“かかりつけ医に相談されたらよいのに、なぜうちに?”と疑問を感じており、“今回もまた大したことないのでは?”と思い込みそうになった。症状や訴え以外のことに影響されて、診断の目が曇るところだったことに気づき、ヒヤッとした。脳梗塞の前兆を見逃し、帰宅させてしまうところでした」 

反省しきりのB先生ですが、患者・Aさんの視点から見れば、B先生が大したことない症状でも話を聞いてくれそうだったからこそ、通うことができたのです。 

年1回の通院で、B先生はAさんが自分をかかりつけ医にしているとは思えなかったかもしれません。しかし、Aさんにとっては、大事なかかりつけ医のお一人だったのです。


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[プロフィール] 
藤原恵子(ふじわら・けいこ) 
医療系出版社の編集記者を経て独立。フリーの医療ライターとして、病院経営、開業ノウハウ、医療マーケティング、医療ボランティア、医療職のキャリアアップや結婚事情などをテーマに医療関連雑誌で取材・執筆活動を行う。書籍では、病院ランキングや医療マンガの取材協力、看護・介護関連書籍では『イラストでわかる高齢者のからだと病気』(中央法規出版)の企画・編集に携わる。趣味は人の話を聞くこと、古文書解読。 
 


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