石田勝也税理士事務所

キャリアアップ助成金『正社員化コース』が拡充化!

24.05.07
ビジネス【助成金】
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優秀な人材に長く働いてもらい、事業の生産性を高めるためには、労働者が安心して働ける雇用環境をつくることが必要です。
そのようなときに活用される、非正規雇用労働者の能力開発を通じ、正社員化を進める事業主に対して助成を行う、キャリアアップ助成金『正社員化コース』ですが、2023年11月に助成内容が見直され、助成額等の拡充が行われました。
今回は概要および変更点についてご紹介します。
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キャリアアップ助成金(正社員化コース)

『キャリアアップ助成金(正社員化コース)』は、就業規則または労働協約等に規定した転換制度に基づき、有期雇用労働者や無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合に助成が行われます。
今回、見直された点は以下の4つです。
(1)助成金額の拡充
(2)有期雇用労働者における雇用期間の要件の緩和
(3)新たに正社員転換制度の導入に取り組む事業主に対する加算
(4)新たに多様な正社員制度※の導入に取り組む事業主に対する加算
※勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度

【変更内容の適用】
今回の変更後内容の適用対象は、2023年11月29日以降に正社員化した場合に限られ、それ以前の転換の場合は変更前の内容が適用されます。

【対象となる労働者】
これまでは対象となる有期雇用労働者の雇用期間について3年が限度とされていましたが、その上限要件がなくなりました。
対象労働者は、就業規則等で、賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の適用を、通算6カ月以上受けて雇用される有期雇用労働者または無期雇用労働者です。
※正規雇用労働者として雇用することを約して雇い入れられた者は認められません

【対象となる事業主】
要件は以前と比較し大きな変更はありませんが、助成金額が中小企業は合計80万円(第1期40万円+第2期40万円)、大企業は合計60万円(第1期30万円+第2期30万円)になっていることに留意しておく必要があります。
・第1期にあっては6カ月以上、第2期にあっては1年以上の期間、継続して雇用し、当該労働者働者に対して各支給対象期分の賃金を支給した事業主であること
・転換後6カ月間の賃金を、転換前6カ月間の賃金より3%以上増額させている事業主であること。また、第2期に係る支給申請においては、対象労働者の賃金を第1期と比較して合理的な理由なく引き下げていない事業主であること

【支給額】一人当たりの助成額
第1期(転換後6カ月後)と第2期(転換後12カ月後)の2回の支給に分割され、合計支給額は増加しました。

<有期雇用労働者から正社員に転換した場合>
中小企業:80万円(第1期40万円+第2期40万円)
大企業:60万円(第1期30万円+第2期30万円)

<無期雇用労働者から正社員に転換した場合>
中小企業:40万円(第1期20万円+第2期20万円)
大企業:30万円(第1期15万円+第2期15万円)

※1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで

【加算措置】
制度規定による加算措置が拡充されました。
●正規雇用労働者への転換等制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を転換等した場合
中小企業:20万円
大企業:15万円
●多様な正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を転換等した場合
中小企業:40万円
大企業:30万円

【手続きの流れ】
手続き面では、支給申請が2回に分けられたのが変更点ですが、それ以外は従来と同じ流れです。
(1)キャリアアップ計画の作成・提出
『キャリアアップ管理者』を配置するとともに、労働組合等の意見を聴いて『キャリアアップ計画』を作成し、管轄労働局長の認定を受けます。
転換・直接雇用を実施する前日までに提出します。
(2)就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定
キャリアアップ計画提出前に転換制度を規定していた場合でも対象になります。
ただし、その場合でも『試験等の手続き、対象者の要件、転換実施時期』の規定は必須です。
※勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定した場合の加算を受ける場合を除く
労働基準監督署に改定後の就業規則を届け出る必要があります。
10人未満の事業所は労働基準監督署への届出の代わりに、事業主と労働組合等の労働者代表者(有期雇用労働者等を含む事業所のすべての労働者の代表)の氏名等を記載した申立書でも可です。
(3)就業規則等に基づく正規雇用への転換・直接雇用の実施
転換後の雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付する必要があります。
また、転換後に適用される就業規則等に規定している労働条件・待遇にする必要があります。
(4)転換・直接雇用後の賃金の支払い
転換後6カ月間の賃金を転換前6カ月間の賃金と比較して3%以上増額している必要があります。
また、第2期申請においては、対象労働者の賃金を第1期と比較して合理的な理由なく引き下げてはいけません。
(5)支給申請
転換または直接雇用後、第1期では6カ月分の賃金(時間外手当等を含む)を支給した日の翌日から起算して2カ月以内、第2期では12カ月分の賃金(時間外手当等を含む)を支給した日の翌日から起算して2カ月以内に支給申請します。
※第1期支給申請において不支給決定を受けた場合には、同一の対象労働者について第2期の支給申請はできません
(6)審査、支給決定

このほかにも細かい支給要件がありますので、詳細は厚生労働省ホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html


※本記事の記載内容は、2024年4月30日現在の法令・情報等に基づいています。