石田勝也税理士事務所

税務署から届いた通知に間違いが? 『不服申立て』の方法とは

21.05.11
ビジネス【税務・会計】
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税金の納付は国民の義務として定められています。
ただし、税務署が定めた課税額や、税金に関する処分に納得がいかない場合には、『不服申立て』をすることも可能です。
もちろん、根拠もないのに不服申立てはできませんが、税務署側に過誤があった場合には、納税者の権利が認められ、支払った税金が戻ってきたり、処分が取り消されたりすることも大いにあるのです。
今回は、いざ必要になった時のための、税金の不服申立てについて解説します。
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不服申立てができる場合、できない場合

税務署から届いた通知で、身に覚えのない処分が下されていたら、誰しも慌ててしまうに違いありません。
そんな時には、一旦冷静になって、本当に間違っているのかを確認する必要があります。
もし、それでも税務署側の対応に不服がある場合には、税務署に再調査・審査を請求することができます。

ここで注意したい点として、すべての処分に関して、不服申立てができるわけではないことがあげられます。

まず、不服申立てができるのは、原則的に納税者の権利や、法律上の利益が侵害されている場合に限ります。
したがって、たとえば納税者が損をしていない『納付税額を減少させる処分』や『還付金額を増加させる処分』については、不服申立てを行うことができません。

国税庁では、主に次のような国税に関する処分について、不服申立てができるとしています。

●納付税額を増加させる更正処分
●申告のない場合に納付税額を決定する決定処分
●更正の請求に対して行われた更正をすべき理由がない旨の通知処分
●加算税の賦課決定処分
●青色申告の承認の取消処分
●差押え等の滞納処分
●納税告知処分

このほか、登録免許税について登記官が行った処分や、自動車重量税について国土交通大臣等が行った処分などに対しても、管轄は税務署とは違いますが、不服申立てを行うことが認められています。

そして、再調査や審査の結果、これらの国税に関する処分に誤りが認められれば、処分が取り消し、もしくは変更されることになります。
ちなみに、誤って納付税額を過大に申告してしまった場合などについては、申告した納付税額を正しい税額に是正する『更正の請求』の手続きを行うことが可能です。


『再調査』や『審査』で正当性を確かめる

不服申立ての手続きは、まず、処分を行った税務署長等に対して、再調査の請求をするところから始まります。
再調査の請求は、処分の通知を受けた日の翌日から3カ月以内に、税務署長等に再調査の請求書を提出します。
請求書は、原則として正本と副本の2通です。
この請求書を受理した税務署長等は、その処分が正しかったかどうかを調査・審理して、その結果を納税者に通知することになっています。
この再調査は、課税処分を取り消してもらうことが主な目的です。
また、取り消してもらえなかったとしても、少なくともなぜ課税されたのかについては明らかになるため、有用です。

調査の結果を受けて、納税者が納得できれば不服申立ては終了になりますが、納得できない場合は、国税不服審判所長に審査請求をすることができます。
この審査請求は、再調査の請求を経ずにすることも可能ですが、審査請求のあとに再調査を請求することはできません。

なお、審査請求の期間については、再調査の請求を経ない場合、処分の通知を受けた日の翌日から3カ月以内です。
再調査の結果を受けてから審査請求をする場合には、再調査の結果通知を受け取った日の翌日から、1カ月以内と決まっています。
期間を過ぎた請求は認められません。

審査請求を行う場合にも、再調査の請求と同じく審査請求書の正本と副本の2通を国税不服審判所の支部に提出します。
この審査請求書が受理されると、国税不服審判所で調査や審理が行われ、裁決の結果は裁決書謄本により納税者に通知されます。

ちなみに、登録免許税について登記官が行った処分と、自動車重量税について国土交通大臣等が行った処分に関しては、審査請求のみを行うことができます。

もし、この裁決でも不服が解消されなければ、裁決書謄本を受け取った日の翌日から6カ月以内であれば、裁判所に訴えることができます。
また、審査請求を行った日の翌日から3カ月が経っても裁決が下されない場合には、裁決を待たずに、訴訟を起こすこともできます。

税務署が誤った判断を下すようなことは、そもそもあまり起こらないといってよいでしょう。
ただ、もしも納税額や処分を見て「おかしいな」と感じたとしたら、まずは申告内容や税率、記録をよく調べることが大切です。
税務署が過誤を起こしてしまうことはあり得ますし、万一の場合には、納税者の権利を主張することも可能ですので、まずはそのことを知っておきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年5月現在の法令・情報等に基づいています。