石田勝也税理士事務所

新型コロナウイルスと闘う介護従事者への『慰労金』とは?

20.10.06
業種別【介護業】
dummy
人々の生活の仕方をがらりと変えてしまった新型コロナウイルス感染症。
月日をいくら重ねても、いまだ終息の気配がありません。
高齢者は感染すると重症化リスクが高いため、緊迫した日々を送っている事業所も多いことでしょう。
そのような状況を鑑みて、強い使命感をもって勤務を続けている介護従事者に、国から『慰労金』が支給されることになりました。
申請は7月から始まっていますが、ここであらためて介護従事者のための『慰労金』についてご紹介します。
dummy
介護施設利用者と接したすべての職員が対象
 
日本の新型コロナウイルスの感染者数は、8月末現在で6万人を超えています。
特に都心部を中心に感染者数は高止まりしており、予断を許さない状況が続きそうです。

このような状況が長期化するほど、感染後の重症化リスクの高い高齢者が利用する介護施設では、通常の業務に加え、感染予防やクラスター対策への対応が続き、勤務する職員への負担も増えていきます。
それだけではなく、職員は自らも高い感染リスクを負ったまま勤務にあたることになります。

そこで内閣は、2020年5月27日に、『新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)』の一環として、そのようなリスクと隣り合わせで現場を支える介護従事者を対象に『慰労金』を支給することを閣議決定しました。
7月20日より、自治体ごとに順次受付をスタートしています。

慰労金の対象は『対象期間に利用者と接した職員』となっており、パートタイマーや事務員、調理員、清掃員、リネン業務員、宿直員、送迎運転手等、ほぼすべての介護従事者が対象となります。
ただし、利用者との接触を伴い、継続して提供することが必要な業務に従事していた職員に限られますので、別棟など離れた場所で勤務していて利用者に会う機会が全くない職員は対象外となります。

また、対象期間は『各都道府県で新型コロナウイルス感染症患者の1例目が発生した日または受入日のいずれか早い日(岩手県は、緊急事態宣言の対象地域とされた4月16日)から6月30日まで』となっており、その期間中に通算して10日以上勤務していることが要件となります。
※対象期間・申請スケジュールは自治体によって異なる場合もありますので、各都道府県のホームページをご確認ください。


支給金額は感染者の発生の有無により異なる

次に、支給額と申請方法について説明します。

【支給対象となる資格】
職種による制限はなく、介護・障害福祉の全サービスが対象で、事業所に勤務している職員であれば事務員も対象です。
正規職員か非正規職員かも問われません。
ただし、有給や育休など実際に勤務していない場合は勤務日数に含めないなどの条件があります。
(A)感染者が発生、あるいは濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務し利用者と接する職員
●通所・施設系
感染者・濃厚接触者発生日以降に勤務を行った場合
●訪問系 
感染者・濃厚接触者に実際にサービスを提供した場合
 ※いずれも1日でも要件に該当する
支給額:20万円
●上記2つ以外の場合
支給額:5万円
(B)その他の施設・事業所に勤務し利用者と接する職員
支給額:5万円

【申請方法】
介護事業所が、対象となる職員から代理申請・受領の委任状を徴収します。
各事業所はそれを保管したうえで、対象の職員をまとめた『受給職員表』を作成し、各都道府県の国民健康保険団体連合会に、原則、電子請求受付システムによるインターネット申請で手続きを行います。
都道府県が申請内容を確認後、慰労金は事業所ごとにまとめて入金され、事業所から職員へ支給することになります。
この慰労金は、申請時にすでに退職した方であっても、対象期間に在籍していれば支給対象となります。
その場合は、元勤務先の事業所が申請手続きを行う必要があります。

慰労金は給与ではないため、全額非課税です。
1人の従事者が複数の事務所に勤務している場合であっても、申請できるのは1事業所のみです。
重複して受け取った場合は全額返還となりますので注意が必要です。
詳しくは、厚生労働省ホームページをご参照ください。

今現在でも、介護現場ではこれまでとは違った対応を余儀なくされています。
新しい生活様式で世の中は徐々に落ち着きつつありますが、さらに新型コロナウイルスの感染者が増えてしまう可能性も否定できません。
そうしたことを踏まえて、今後も国の対応策に注目しながら介護事業を支えていきましょう。

参考:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00144.html


※本記事の記載内容は、2020年10月現在の法令・情報等に基づいています。