石田勝也税理士事務所

一人親方などフリーランスのための、社会保険の基礎知識

20.09.01
業種別【建設業】
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建設業界では昔から一人親方などのフリーランス(個人事業主)が活躍してきました。
しかし、いざフリーランスになったら、現場の仕事だけでなく労務や経理などの事務もすべて自分で行わなければなりません。
なかでも悩みの種になるのが、社会保険や年金、労災などの労務に関する公的保険制度ではないでしょうか。
社会保険に未加入でいると受託できない仕事もあるため、疎かにできません。
そこで今回は、フリーランスになるときに知っておきたい労務上の注意点を紹介します。
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フリーランスが加入するべき公的保険制度

会社に所属して働いているときには、社会保険や労働保険、それから住民税や所得税など、公的な保険や税金に関する手続きはすべて会社が代行してくれるため、これらはほぼ会社任せで問題ありませんでした。
自分ですることといえば、年末調整のための書類を書くことくらいだったのではないでしょうか。
しかし、一人親方などのフリーランスになるとそうはいきません。
これまで会社勤めをしていた人や、常勤ではなくても組織に属して社会保険などに加入していた人は、これからは自分で保険や税金の手続きを行う必要があります。
建設現場では、国土交通省の『社会保険未加入者の現場入場を認めない』という決まりに沿った入場制限がかかるため、加入しなければ仕事にも影響してしまうのです。

では、必要な社会保険とは、どのようなものをいうのでしょうか。
フリーランスが加入するべき公的制度には、以下のものがあります。

●健康保険
健康保険は医療保険の一種で、被保険者が病気やけが、出産などで医療機関にかかったときに費用を補填してくれる制度です。
一般的に、健康保険は所得に応じて保険料が変わります。
そのため、所得が高い人は納める保険料も高額になりがちです。
その対策として、建設連合国民健康保険組合などの健康保険組合を探して加入するという方法があります。
ちなみに、建設連合国民健康保険組合の場合は所得に関わらず保険料が決まっており、40歳~49歳の場合、月額保険料は1万8,700円(2020年7月現在)となっています。

●国民年金
フリーランスは、国民年金も自分で加入しなければなりません。
会社勤めをしている人は厚生年金と国民年金の2階建て構造となっていますが、フリーランスは国民年金のみです。
ちなみに、厚生年金と国民年金の両方に加入するサラリーマンに比べ、フリーランスは将来もらえる年金額が低くなります。
老後に備えた貯蓄を考えているのなら、国民年金に加えて私的年金などもチェックしておくとよいでしょう。

●労働保険
労働保険とは、労働者災害保険(労災保険)と雇用保険を総称した言葉です。
フリーランスになる際に頭を悩ましがちなのが、この労働保険といえます。
仕事中や通勤中など、仕事に関するところで病気やケガなどの災害に遭ったとき、労働保険に加入していれば労災がおり、医療費の補助などを受けることができます。

基本的に労働保険は雇用されている人のために事業主が支払うもの。
フリーランスは労働保険に加入できない決まりとなっています。
そこで次に、労災保険については特別加入できる制度についてご説明します。
※雇用保険に加入することはできません。


建設業で認められる労災保険の特別加入制度

建設業界で働く人は、デスクワークや接客業などに比べて労働災害にあうリスクが非常に高いといえます。
それなのにフリーランスだからといって労災保険に加入できないとしたら、そのリスクを個人で背負わなければなりません。
それは不都合だということで、業務形態や災害の発生状況などから『労働者に準じて保護をすることがふさわしいとみなされる人』に対しては、労災保険に特別加入できる制度があります。
建設業においては、以下の業務に従事しているフリーランスが特別加入制度の対象となっています。

『土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復(※)、修理、変更、 破壊もしくは、解体またはその準備の事業(大工、左官、とび職人など)』
※除染を目的として行う高圧水による工作物の洗浄や側溝にたまった堆積物の除去などの原状回復の事業も含む。

以上が、一人親方などのフリーランスが加入するべき公的保険制度についてです。
加えて、忘れてはいけない税金面ですが、フリーランスは会社に年末調整をしてもらうことができないため、確定申告の手続きをして所得を国に申告しなければなりません。
確定申告を行うことにより、適正な所得税や住民税の額が決まることになります。
日頃から経費の計算や領収書などの整理を心がけ、きちんと申告をすることが大切です。

詳しいことは厚生労働省のホームページにも載っていますので、フリーランスになったときは忘れずに手続きを行いましょう。


※本記事の記載内容は、2020年9月現在の法令・情報等に基づいています。