石田勝也税理士事務所

『スノッブ効果』を逆手にとり、購買につなげるには?

20.01.07
ビジネス【マーケティング】
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街を歩いていて、自分と同じ服やアイテムを身につけている人を見かけたとき、なんだか微妙な気持ちになったことはありませんか?
『周囲が持っている物はほしくない』という心の動きのことを、『スノッブ効果』といいます。
一方で、広告やPR戦略などにおいて、スノッブ効果を上手に利用する方法も存在します。
そこで今回はこのスノッブ効果について、詳しく説明します。
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『他の人が持っているなら、いらない』心理

スノッブ効果とは、1950年にアメリカの経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインが提唱した理論の一つです。
スノッブとは、日本語で俗物や、知識をひけらかす人、気取り屋などという意味があります。

人と同じ物を持っていると、急に自分の服やアイテムが価値のないものに感じてしまうという心理的な状態を基にした効果のことで、知らず知らずのうちにほとんどの人がスノッブ効果の影響を受けています。

スノッブ効果は、『他者の消費が増加するほど、購買者個人の需要が減少する』という行動原理によって説明することができます。

たとえば、人気のアパレルメーカーが新作のウェアを発売したとします。
最初、かっこよくてオシャレなウェアは飛ぶように売れました。
この瞬間が『他者の消費が増加』している段階です。
ウェアはさらに売れ、街を歩く人の半分以上が同じようなウェアを身につけています。
すると今度は、他人が持っている物には価値を感じなくなる心理が働き、『購買者個人の需要が減少する』状態が発生します。
つまり、『他の人が持っているなら、いらない』という人が大多数になるわけです。

人の心理は表裏一体。
他人と物事を共有することで安心感を得る一方で、それが飽和していくと、今度は差別化を図りたいという心理が生まれてきます。

この心理を逆手にとって、マーケティングに利用することも行われています。
『他者の消費が増加するほど、購買者個人の需要が減少する』とは、逆説的に、『他者の消費が減少するほど、購買者個人の需要が増加する』という意味でもあるわけです。


希少性や価値観をアピールするマーケティング手法

他者の消費をあえて限定的にすることで、個人の需要を増加させるという仕組みが成り立つのです。
マーケティング的には、“他者の持っていない”という希少性や、価値観をアピールすることで商品の販売数を伸ばしていくという手法につながってくるわけです。

具体的には、『人を限定する』『期間を限定する』『販売個数を限定する』『販売地域を限定する』という方法で、希少性や価値観を高め、『個人の需要を増加』させていきます。
それぞれ見ていきましょう。

『人を限定する』は、オーダーメイドの商品や、注文生産の商品などがこれにあたります。
その消費者のためだけに作られたものなので、当然希少性は高いですし、そこに価値を見出す人は大勢います。

ほかにも『会員限定商品』などと銘打つことで、一般の消費者には手に入らないと思わせ、消費者の“優越感”などをくすぐるのも有効な手法の一つです。
マーケティング手法的には基本の戦略で、スノッブ効果を逆手にとった代表的な例と言ってもいいでしょう。

また、『期間を限定する』は、『今日だけの限定商品』や『今だけのサービス』などで期限を区切って販売する方法で、特別感を演出するマーケティング手法として知られています。

同じように、『販売個数を限定する』のも効果的です。
『ランチ限定10食の特別メニュー』や、『数量30個までの特別品』などというキャッチコピーを見かけたことはないでしょうか。
これもすべてスノッブ効果を応用したもので、希少性をアピールする手法の一つです。

そして、『販売地域を限定する』もよく使われる手法です。
『○○県限定商品』や、『ここでしか買えない一品』などは、逆説的に『他の地域では買えない』『他の地域の人は持っていない』ということを暗に訴えています。
その瞬間、『他の地域の人が持っていないなら、せっかくだから買っておこうか』という心理が働き、購買につながるというわけです。

ほかにも、ご当地グルメやご当地ゆるキャラなども、地域の活性化を狙うと同時に、『ここでしか食べられない』『ここでしか会えない』という希少性を演出しています。

スノッブ効果とは、希少性や特別感を出すことで個人の購買欲を高めるマーケティング手法だと理解してもらえたと思います。

一方で、他の人が持っているという安心感や信頼感をベースに購買を促す『バンドワゴン効果』という相反する用語も存在します。

どちらもマーケティング戦略には欠かせない考え方です。
自社のマーケティング戦略には、どちらが効果的なのかをしっかりと見極めて、取り入れていきましょう。


※本記事の記載内容は、2020年1月現在の法令・情報等に基づいています。