石田勝也税理士事務所

職場環境以上に注意したい“院長と看護師の相性”

18.07.06
業種別【医業】
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一時期ほどではないにせよ、看護師採用はいまだに売り手市場の状況が続いています。 
こんな時、「誰でもいいから来てほしい!」と思っていたら要注意です。 
「誰でもいい」で採用すると、看護師は定着せず、採用経費がかさむだけでなく診療にも悪影響が出ることがあります。
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看護師採用は売り手市場

2006年度診療報酬改定以降、看護師は常に“売り手市場”でした。同改定で、病院の基本診療料となる『入院基本料』で病棟での看護師配置を算定要件としたことが主因といわれています。最も高い報酬を得られる『7対1入院基本料』を算定する病院が続出し、全国で病院による“看護師争奪戦”が展開されました。この余波は診療所にも及んでいます。

この状況に対し、看護師の紹介会社を活用し、「なんとかしている」方も多いようです。
しかし、そのための費用は無視できません。看護師の紹介料は一人あたり年収の2割というのが一般的です。仮に毎年、人材紹介会社を経由して獲得すると、それだけの経費が余計に上乗せされることになるのです。


「看護師であれば誰でもいい」という採用は通用しない

看護師は、長いと20年以上勤める方もいますし、結果的に“院長の右腕”として活躍する方もいます。安定的に医院を運営するには看護師の定着が欠かせません。
では、看護師を定着させるには、採用時にどのような点を注意すればよいのでしょうか。
職場と院長先生、それぞれの視点でお伝えします。


職場に何を求めているか?
患者像は一致しているか?

まずは、“職場との相性”についてお伝えします。
診療所への就職を希望する看護師は、職場に何を求めているのか。これを度外視した採用策は好ましくありません。
一般的に、キャリアアップよりも、むしろ自分の専門性をある程度活かしながら、ワークライフバランスを担保できる職場を求める傾向が強いようです。子育てや介護があるので、定時に帰宅できる診療所に勤務したいといった具合です。

また、医療機関の主な患者像と、看護師が看たいと思っている患者像は、ある程度一致させておく必要があります。「急性期病院で重症患者を看て経験を積みたい」、あるいは「高い専門性を求められる高度医療の看護を身につけたい」と考えている看護師と、内科を中心としたかかりつけの診療所では、望む環境に差異があります。


最も大事なのは“院長との相性”

仮に、事業規模が大きく、複数人の医者と大勢の看護師が在籍する病院であれば、医師と看護師の気が合わなければ配属を変更することもできます。しかし“院長1人に看護師数人”が基本の診療所ではそれもできません。そのため、看護師の定着には、院長との相性は最も大事です。

また、医師の診察時間は限られるだけに、その前後のフォローを担う看護師の役割はきわめて重要です。相性が良ければ、定着率だけではなく、フォローの質もよくなります。

厚生労働省の『平成28年賃金構造基本統計調査 結果の概況』によると、看護師の平均勤続年数は7.9年とされていますが、医療機関の機能によってばらつきがあるとの見方が一般的です。急性期病院であれば数年、慢性期病院は10~15年程度と言われますが、診療所は長ければ20~30年に及ぶことも珍しくありません。
そのためにも、“誰でも採用”ではなく、長期的に診療所で活躍してくれる“院長の右腕を探す”という視点で、看護師の採用を行うのはいかがでしょうか。



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