石田勝也税理士事務所

柔軟な働き方に関する制度で育児を行う労働者を支援

24.10.08
ビジネス【助成金】
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両立支援等助成金は、仕事と育児・介護等の両立支援に関する事業主の取り組みを促進し、従業員の雇用の安定を図ることを目的としています。
本助成金には全部で6種類のコースがあり、今回は令和6年4月に新設された「柔軟な働き方選択制度等支援コース」について取り上げます。
このコースは仕事と育児の両立支援を図るための雇用環境整備を行い、制度を利用した従業員に対する支援を行なった事業主が助成されます。

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柔軟な働き方選択制度等支援コース

本助成金は、3歳以降小学校就学前までの子をもつ従業員について柔軟な働き方を可能とする制度を事業主が複数導入し、その制度を利用した従業員に対する支援を行なった場合、雇用する事業主に助成を行うものです。
なお、対象の従業員が令和6年4月1日以降に制度を利用した場合に対象となります。

【支給対象事業主】
中小事業主のみが対象です。
「柔軟な働き方選択制度等」に規定された5つのなかから2つ以上を導入し、従業員支援の取り組みを行なったうえで利用実績があった場合に助成金が支給されます。

<柔軟な働き方選択制度等>
A.始業終業時刻の変更等(a、bのうち少なくともいずれかの制度を設けること)
a.フレックスタイム制:日々の始業終業時刻や労働時間を労働者が決定
b.時差出勤制度:始業終業時刻の1時間以上の繰り上げまたは繰り下げ

B.育児のためのテレワーク等
自宅等での勤務を可能とし、勤務日の半数以上かつ時間単位で利用可能

C.短時間勤務制度
所定労働時間を1日1時間以上短縮、1日6時間以外の短時間労働も可能

D.保育サービスの手配・費用補助制度
労働者の子に対する一時保育等でかかった費用の全部または一部を補助

E.子の養育のための有給休暇(a、bのうち少なくともいずれかの制度を設けること)
a.子の養育のための休暇制度:年10日以上の有給休暇が取得可能(時間単位も可能)
b.法を上回る子の看護休暇制度:法定の看護休暇制度を上回るものであり、年10日以上有給休暇が取得可能(時間単位も可能)

利用実績と認められる基準
A・B・C:合計20日以上利用
D:負担額の5割以上かつ3万円以上、または10万円以上の補助
E:合計20時間以上取得

【支給額】
支給額(1名あたり)
・制度を2つ導入し、対象労働者が制度を利用した場合:20万円
・制度を3つ以上導入し、対象労働者が制度を利用した場合:25万円

育児休業等に関する情報公表加算:2万円(1事業主1回限り)
※自社の育児休業の取得状況等を指定のWebサイト上で公表した場合に、1回に限り加算して支給します。
加算のみの受給はできません。

同一制度にかかる申請は利用者につき1回限りですが、異なる複数の制度を利用した場合は、別件として申請することができます。
ただし、利用する制度ごとに面談を実施のうえプランを作成し、複数の制度を利用する場合は利用期間が重複していないことが要件です。
なお、1年度につき1事業主あたりのべ5人までです。

【支給要件】
(1)~(7)のすべてに該当する必要があります。
(1)「柔軟な働き方選択制度等」の内容および利用の手続きについて労働協約または就業規則に規定している
(2)育児を行う労働者の柔軟な働き方に関する制度の利用および制度利用後のキャリア形成を円滑にすることを支援し、今後も継続して実施していく方針であることを全労働者へ周知している
(3)利用者と面談し、所定の「面談シート」に記録し「柔軟な働き方支援プラン」を作成している
(4)利用者が、「柔軟な働き方選択制度等」のうち1つを、利用開始から6カ月間で一定の基準以上利用したこと
(5)対象労働者(利用者)が、「利用期間中および申請日の両方」の時点において雇用保険被保険者であること
(6)育児休業制度等を労働協約または就業規則に定めていること
(7)次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し、労働局に届け出ていること
ただし、申請日時点で有効であり、申請日までに策定、届出、公表および周知されている必要あり(プラチナくるみん認定を受けている事業主は、行動計画の策定・届出の省略可)

【申請手続き】
「柔軟な働き方選択制度等」の就業規則等への規定、全従業員への周知、制度利用者の面談およびプランの作成は、利用開始前日までに実施していなければなりません。
助成金の申請期間は制度利用期間(6カ月間)の翌日から2カ月以内です。
主な添付書類は、就業規則や労働協約、利用者に係る面談シートおよび働き方支援プラン、制度利用の実績が確認できる出勤簿や賃金台帳等の資料のほか、該当の導入制度が確認できる書類等です。

【おわりに】
「柔軟な働き方選択制度等コース」は、子育て世代が柔軟な働き方を選び、その制度を活用してもらいたいという思いで新設されたコースです。
制度を導入するだけでは支給対象とならず、育児をする従業員が一人でも多く利用できるよう、それぞれの会社に合う制度を導入して利用促進に努めるようにしましょう。
募集は通年で行なっていますが、厚生労働省管轄の助成金であるため予算に達すると募集が終了する場合があるので、早めに手続きを開始されることをおすすめします。
注意点として、就業規則の整備や日々の労務管理記録が整っていないと受理されない場合もありますので、専門家に相談する等、慎重に進めるようにしましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html


※本記事の記載内容は、2024年9月30日現在の法令・情報等に基づいています。