高木淳公認会計士事務所 / SAO税理士法人 蒲田オフィス

前職に、解雇理由の書面を求めることはできるのか?

16.09.02
ビジネス【労働法】
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これまで中途採用するに当たって、前職の離職理由は口頭での確認にとどめていました。

今回の採用で、正直に「解雇された」と申告した応募者がいて、会社として懲戒事由などを確認したいということになりました。

書面として「解雇理由の証明書」があったはずですが、採用者に求めてもいいのでしょうか?
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<離職後なら「退職時の証明書」、解雇予告日から退職日までは「解雇理由証明書」をを請求可能> 

中堅ないし幹部社員などの中途採用に際し、再就職先が求職者の経験・知識・技能の評価など、在職中の従事業務について「証明書」を要求するケースは少なくありません。

離職理由についても円満退職なのかそうでないのかは、採用担当にとって関心が高い事由のひとつといえるでしょう。 

労働基準法22条で定めているものとして「退職時の証明書」(1項)、「解雇理由の証明書」(2項)の2種類があります。 再就職会社がこの2つを求めること自体は問題ないでしょう。


解雇理由証明書は、労働者が「解雇が恣意的になされるのを防止すること」「解雇についてやむを得ないと受忍するか、またはこれを争うかを迅速に判断できるようにすること」「争う場合にも第三者機関が解雇の有効性を迅速、適格に判断できるようにすること」を目的に交付されます。

解雇理由証明書で証明されるのは、解雇に関することのみです。解雇に関する就業規則の条項の内容や当該条項に該当するに至った事実関係が記入されたものとなっています(平11・1・29基発※45号)。 

一方、退職時の証明書の記載事項には、(1)使用期間、(2)業務の種類、(3)その事業における地位、(4)賃金、(5)退職の事由があります。

(5)退職の事由とは、自己都合退職、勧奨退職、定年退職、そして「解雇」が含まれます。 

ただし、労働者が請求しない事項は明記されません(労働基準法22条3項)ので、その点は事前確認が必要です。 

解雇された人を採用する場合、退職時の証明書と解雇理由の証明書どちらでも同じかというと、そうではありません。記載事項だけでなく、入手できる時期に大きな差があります。 

退職時の証明書は退職後においてしか請求できないのに対して、解雇理由証明書は解雇の予告期間中でも請求できます。 

求職者が解雇の予告をされた日から退職する日までの間に選考を受けに来た場合、解雇理由証明書を請求することになります。 

再就職の活動時期が離職後であれば、退職時の証明書を請求することが可能です。


※基発…厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長宛の通達


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【記事提供元】 
安全スタッフ2015年8月15日号