高木淳公認会計士事務所 / SAO税理士法人 蒲田オフィス

テレワーク時でも適切な人事評価を行う方法

21.09.07
ビジネス【人的資源】
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新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの企業がテレワークを導入しました。
テレワークにはさまざまなメリットがある一方で、セキュリティ上の懸念や、社員間のコミュニケーション不足など、さまざまな課題が浮き彫りになっています。
特に、人事評価においては、『従業員の勤務態度を目視することができない』『実務を把握しづらい』『評価が上司の力量次第になってしまう』などの問題が生じています。
今回は、テレワークにも対応できる人事評価制度について考えてみましょう。
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テレワーク時の人事評価の難しさ

働く場所に縛られないテレワークは、業務の効率化や通勤時間の削減のほか、ストレスの緩和やコスト削減などのメリットをもたらしましたが、人事評価においては、むしろ問題点が増えているかもしれません。

まず、従業員が全員同じオフィスにいるわけではないので、上司や人事担当者が従業員の状態を目で見て確認できず、勤務態度などを正確に把握することが難しくなります

コミュニケーションの機会の減少により、人事担当者と各部署間の情報共有が遅れてしまうこともあるでしょう。
また、直属の上司と部の責任者など、複数人で人事評価を行っている企業は、人事に関する綿密な相談や、仕事に関する認識の共有を行うことが難しくなるなどして、人事評価制度の機能自体がマヒしてしまうことも考えられます。

また、各部署の責任者による評価方法のばらつきにも注意しなければなりません。
たとえば、ある部ではビデオ会議の発言回数やチャットでのやり取りなども評価に加えるのに対し、別の部では成果のみを評価の対象にするなど、評価方法が厳密に定まっていないと、従業員の混乱や不満を招く恐れがあります。
評価者がテレワーク下での管理にまだ慣れていないことや、前述のように部下の様子を実際に見られる機会が減るうえ、部署間の交流も減っていることから、人事評価が属人化しやすくなっています。
事業者は、部署間で評価方法に差が生まれる可能性があることを念頭に置いておく必要があります。


テレワークに適した人事評価制度とは

これらテレワーク時の人事評価のポイントとなるのが、『プロセス評価の改革』と『成果評価への注力』です。

まず、『従業員の勤務態度を観察することができない』『実務を把握しづらい』という問題は、部署間で共通した『評価シート』を作成するなど、評価の項目を明確にすることで、上司による偏りを減らすことができます。
評価シートとは、部署ごとに決めた業務態度や実務進捗に対する評価などを書き込むシートです。

部下と直接触れ合う機会がないからこそ、たとえば、1日の終わりに定例ミーティングなどの時間を設けて、評価シートに沿って、どのくらい業務が進んでいるかを確認しましょう。
1日のうちに、『誰が』『どの仕事を』『どのくらいのスピードで』『どこまで終わらせたか』を確認することで、適切なプロセス評価を下せるようになります。

また、評価シートを使用した評価は、従業員の作業スピードや仕事の能力を把握することにもなるため、新規の仕事を振り分ける際の参考にもなります。

テレワーク時には、これらのプロセス評価に加えて、成果評価にも力を入れていきましょう。
たとえば、『目標管理制度』を導入するという方法です。

個人やグループが、『〇月までに○を達成する』『○日後までに○を完成させる』といった明確な目標を定める目標管理制度は、従業員が、企業の目標を自分自身の目標として捉えることにつながり、従業員が主体的に動くようになるというメリットがあります。
まさに従業員が主体的に動く必要のあるテレワークに適した制度で、目に見える成果を評価の対象とするため、適正な評価をしやすいという長所もあります。
こちらも定例ミーティングなどで部下と話し合いながら、目標を定めていきます。

この目標管理制度に評価シートを組み合わせることによって、プロセス評価にも成果評価にも偏らない、バランスのよい人事評価を行うことが可能になります。
さらに、これらの仕組みを取り入れることによって、明確な基準ができ、『評価が属人的になりやすい』という問題も解消することができます。

正確な人事評価は、直接触れ合うことが難しいテレワークの環境下において、どれだけ従業員のことを把握するかにかかっています。
オフィスの環境下で行っていた従来の人事評価にそぐわない点が多く出てくる可能性があるので、一度見直しを行うとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2021年9月現在の法令・情報等に基づいています。