高木淳公認会計士事務所 / SAO税理士法人 蒲田オフィス

成功させたい! 事業承継の種類とそれぞれのメリット・デメリット

21.01.26
ビジネス【企業法務】
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少子高齢化に伴い、後継者不足に悩む中小企業が増えています。
事業承継には、配偶者や子どもに承継する『親族内承継』と、親族以外の役員などに事業を継いでもらう『親族外承継』、そして、会社の事業を別の企業に買い取ってもらう『M&A』の3つがあります。
一般的に、準備の段階も含めて事業承継には3~10年ほど時間が必要といわれているため、準備を怠っていると、いざその時が来てもスムーズに事業承継が行えません。
会社を存続させるためにも、事業承継の種類や方法について学んでおきましょう。
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事業承継は早くから準備することが大切
 
会社の事業を引き継ぐことを意味するものとして『事業継承』と『事業承継』という言葉があります。
どちらも同じ意味のように見えますが、『事業継承』が事業を継ぐという意味であるのに対し、『事業承継』は、事業だけではなく、社内における地位や考え方なども引き継ぐという意味合いが含まれています。
先代の経営者から後継者が会社を引き継ぐ場合は、単純に事業だけではなく、その会社のブランドイメージやポリシーなども引き継ぐことになるため、一般的には『事業承継』という言葉が使われています。

その事業承継が、後継者不足の昨今において、継承者の不在というひとつの課題を抱えています。
政府も喫緊の課題として、後継者不足解消のためのさまざまな施策を打ち出しています。

2020年4月30日に新型コロナウイルス感染症の感染拡大による不況の緊急経済対策として、同年度補正予算が組まれ、このなかには総額100億円におよぶ中小企業に向けた事業承継支援策が盛り込まれました。
これまでも全国47都道府県に設置されている『事業引継ぎ支援センター』などで行政による事業承継の支援が行われてきましたが、それとは別に、新しい補助金制度やファンドの創設などでさらなる支援が打ち出されました。

もちろん経営者側も会社の将来に備えて、事業承継のための準備をしていかなければなりません。
会社のありとあらゆることを後継者に引き継ぐわけですから、当然、時間もかかります。
経済産業省の『2019年版中小企業白書』によれば、約半数近くの企業が、後継者を決定してから実際に引き継ぐまでの期間として、1年以上の時間をかけているというのが現状です。
事業承継は早めに取り組むことが鉄則なうえに、しっかりと準備をしないまま承継してしまうと、従業員の反発にあったり、承継中に経営が傾いてしまったりするなどのリスクを負う可能性もあります。
できるだけ早い段階から、事業を引き継いでもらうための準備をしていくのが得策といえるでしょう。


3種類ある事業承継、それぞれの特徴とは

まず、事業承継のなかで重視しなければならないのは、『誰に承継するか』ということです。

親族内承継は、経営者の身内に事業を継がせるため、経営者教育を早くからできるというメリットがあります。
しかし、ほかに相続人がいる場合などは、遺産の相続権を主張され、トラブルに発展するケースもあるため、ほかの相続人に対する配慮も怠らないようにしなければなりません。

親族外承継は、その名の通り、親族以外の人物に事業を承継する方法です。
会社の役員や従業員を後継者に据えるケースが多く、会社のことをよく理解している人物に経営を任せられるというメリットがあります。
全従業員が知っている人物に会社を継がせることで、ほかの従業員を安心させる効果もあります。
一方で、親族外承継にもデメリットはあります。
事業承継のためには、経営者が所持する株式を経営権と共に後継者に譲渡する必要があります。
しかし、その際、後継者は現経営者に株式の対価を支払わなくてはなりません。
後継者が買取資金を準備できない場合は、株式の対価を減額せざるを得なくなります。

このほか、自社の役員や従業員ではなく、第三者である他会社に承継してもらう『M&A』という方法もあります。
M&Aは、適切な会社に買い取ってもらえれば、従業員の雇用は保証されますし、売却時点での会社の売値が高ければ、多額の現金を手にすることも可能です。
ただし、その後の経営には関与できなくなるため、社風やビジネスモデルが変わってしまい、まったくの別会社になってしまうという懸念もあります。

基本的な事業承継の形としては、以上の3つとなります。
これらの選択肢のうち、どの方法が自社に合っているかを考えなくてはなりません。
また、事業承継を行うには、後継者を育成する時間も必要ですし、株式を移転する手続きや、保証や担保の交代なども行わなくてはいけません。
会社を自分の代で終わらせたくないと考えるのであれば、できるだけ早くから後継者を探し、周囲や従業員への告知を行い、理解を得ていくようにすることが重要です。

事業承継は決して一朝一夕でできるものではありません。
将来を見据えて、余裕を持って準備を進めておきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。