高木淳公認会計士事務所 / SAO税理士法人 蒲田オフィス

人材獲得&育成に役立つ! 労働者の職業能力を証明する『ジョブ・カード』

20.12.08
ビジネス【人的資源】
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求職者への就職支援の一環として、厚生労働省が発行している『ジョブ・カード』というものがあります。
ジョブ・カードは、個人の職業能力を証明し、就職活動や職業訓練をサポートするためのものです。
また、このほか、在職者のキャリアプランニングや企業側の人材採用や従業員の能力向上にも活用されています。
今回は、ニーズに合った人材の確保や育成に役立つジョブ・カードについてご説明します。
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企業と求職者、双方にとって有益なツール

2008年にスタートしたジョブ・カードは、正社員経験の少ない求職者やこれから仕事を探す学生などが就職活動を円滑に行えるようにするためのツールであると同時に、個人の職業能力の向上を目的としても活用できるものです。

ジョブ・カードは、キャリア・プランシート、職務経歴シート、職業能力証明シート、職務経歴書、エントリーシートがワンセットになっており、厚生労働省の『ジョブ・カード制度総合サイト』で作成します。

作り方は、ジョブカード作成支援ソフトウェアをダウンロードし、インストールした書類に求職者の職務経歴やアルバイト・ボランティアなどの経験、学習歴、免許や資格などを入力して出力するか、またはPDFをダウンロードして手書きで記入したり、Excelの様式などを使って作成します。

そのジョブ・カードには、作成した人の自己理解、仕事理解、これまでの職業経験、キャリア・プランなど、履歴書やエントリーシートだけでは把握できない情報が載ることになります。
つまり、求職者にとっては、履歴書やエントリーシートと併せて企業側に提出するためのものであり、企業側にとっては、自社の実務に活かせるスキルや能力を持っているかどうかも判断できるものでもあるのです。

求人を出す際に、必ずしも職務経験が豊富で、自社の業界に精通している人材が応募してくるとは限りません。
特に業界未経験の応募者や、これまで正社員の経験が少ない応募者に関しては、ジョブ・カードの確認がとても有効です。
実際に働いてもらったとしたらどうなるのかをイメージすることにも役立ちます。
また、面接時にジョブ・カードを提出してきた応募者は、それだけ労働意欲が高い人材だということもいえるでしょう。
個人の能力や適性を見ることのできるジョブ・カードは、自社のニーズに合わせた人材を採用するためのツールとして活用できるというわけです。

そういったことから近頃では、ジョブ・カードの有無を、採用を決める際の一つの基準にしている企業も増えているようです。


従業員の働きぶりや能力の評価にも活用

また、ジョブ・カードは、在職の従業員のキャリアプランニングのツールとして、人材開発の場でも活用することができます

従業員のキャリアプランの作成は、先ほどと同じジョブ・カード制度総合サイトにて、キャリア・プランシートに記入して作ります。
そこで、これまでの経験を振り返り、自身の能力を見つめ直すことで、自己理解や仕事理解などをさらに深めてもらいます。
どのようにまとめたらよいかわからない、今後のキャリアプランについて迷っているなどの場合には、ハローワークなどでキャリアコンサルティングの支援や指導を受けることもできるため、より客観的な視点で、中長期的なキャリアプランを形成することができます。

企業側がジョブ・カードの活用を促すことで、社内のキャリア形成に対する意識が高まり、従業員が主体的に能力の向上や仕事と向き合うようになることも期待できます。

また、ジョブ・カード制度総合サイトには、従業員の職業能力や仕事ぶりを評価する『職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート』などがあり、人事評価にこれらのシートを活用している企業もあります。
このシートは、『企業実習・OJT期間内における職務内容』や『職務遂行のための基本的能力』『技能・技術に関する能力』などを細かく記入していき、それぞれの従業員の評価を決めるもので、簡単に導入することができます。

働きぶりや能力などを評価すると同時に、各個人の課題も見えてくるため、今後の社員教育にも繋げやすく、どのように研修を行っていけばよいか、どのような職場環境を求めているのかなどを把握することもできるでしょう。

個々の従業員に合わせた人材育成は、多くの企業にとっての課題でもあります。
また、従業員の成長を促すことは、会社の成長にもつながります。
ジョブ・カードは、自社の従業員のキャリアプランニングをサポートし、適切な能力評価の一助にもなります。
従業員は、適切な評価を受けることで仕事に対するモチベーションも高くなり、ひいては離職率の低下につながるというわけです。

求職者やキャリアアップを目指す従業員の視点に立ち戻るためにも、そしてそれぞれに対し適切な評価を行うためにも、一度、チェックしてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。