高木淳公認会計士事務所 / SAO税理士法人 蒲田オフィス

患者減少の悩みに対応する、セルフプロデュース

20.08.03
業種別【歯科医業】
dummy
新型コロナウイルス感染予防において、口腔内の処置を行う歯科は感染リスクが高いとみなされ、「ウイルスの流行が落ち着くまでは通院を控えた方がよいのではないか」と考える風潮があります。
これにより、個人経営の歯科クリニックでは、経営に工夫が必要になる局面も増えたかと思います。
コロナ後の歯科業界では、状況を考慮したアプローチで集患・診療を考えていく必要があるでしょう。
dummy
多くのクリニックで患者減少を自覚

新型コロナウイルス感染症の影響により、全国の医科歯科業界で外来患者数が減少しています。

社会全体が未曾有の不況に突入するかもしれないという状況下で、保険診療以外の自由診療、特にインプラントや矯正など高額治療の売上が減少しているというのが現状です。
この難局を乗り切るためには、外来患者に対するアプローチを積極的に行い、歯科治療の場に人を戻さなくてはなりません
それには、これまでの歯科医院としての枠を超える集患の考え方を取り入れ、自身のクリニックをセルフプロデュースしていくことが、一つの突破口になるかもしれません。


一般的な店舗プロデュースの視点を生かす

クリニックの経営を客観的に見直すためにも、いったん小売業などの一般的な店舗プロデュースの視点を持ち込むとよいでしょう。

店舗プロデュースの方法は多様で、これという正解があるわけではありませんが、いくつかポイントとなる共通項目はあります。

●コンセプトを明確にする
どんな業種であっても共通していえるのは、人を集めるためには“しっかりしたコンセプト”が欠かせないということです。
次のような要件を明確にしたうえで、どんなコンセプトでクリニックを作るかを考え、それに従って内装のみならず、業務フローなどもデザインしていくことで人が足を運びたくなるクリニックづくりができるのではないでしょうか。
・対象者(ターゲット層など)
・提供する治療やサービス内容
・来院することによって患者が受けるメリット
・コストや治療期間の目安

●ブランド力を高める
イメージカラーやロゴ、キャラクターなど、クリニックのイメージをつくるツールにこだわってみるのもひとつの手段です。
こうしたツールはおまけ的なものに映るかもしれません。
しかし、患者は製品やサービスを購入する消費者と同じような感覚でクリニックを選んでいます。
一般的な商業施設と同じで、クリニックのデザインも、よいイメージを持ってもらうためにはとても大切なのです。

●内装の設計や空間デザインを工夫する
クリニック内の治療空間の快適さはとても大切です。
コンセプトやブランド力で初診の患者は増えても、実際のクリニックの院内が快適でなければ、リピーターはつきません。
また、ポジティブな口コミをしてもらえません。
家具やカーテン、小物等の雑貨品など、細かい部分まで徹底して気を配り、トータルコーディネートをするとよいでしょう。
その雰囲気がコンセプトにマッチしていれば、患者の満足度は期待値以上になります。

●ホームページやリーフレットを充実させる
コンセプトもブランドも、発信しなければ意味がありません。
クリニックの長所をきちんと伝えられる内容で、ホームページやリーフレットを充実させるとよいでしょう。
お金をかけて立派なものを作る必要はありません。
きちんとマーケティングをしたうえで、シンプルでもよいので初診の患者にもわかりやすいデザインで作成し、チラシの配布やWeb広告の頻度なども見計らうと効果は上がります。

まずは上記4点の原則を踏まえ、今一度、自院の経営についてを振り返ってみるのはいかがでしょうか。
これまでと違ったアプローチを検討してみることで、この大変な局面も、発展性のある貴重な期間に変わるかもしれません。


※本記事の記載内容は、2020年8月現在の法令・情報等に基づいています。