高木淳公認会計士事務所 / SAO税理士法人 蒲田オフィス

訪問歯科診療がもたらす“患者・医院・地域”のメリットとは?

19.07.02
業種別【歯科医業】
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高齢者人口の増加などに伴い、要介護の高齢者や障害のある方など、口腔ケアを必要としながらも通院が困難な人が増えており、今後訪問歯科診療のニーズがますます高まることが予想されます。 
この訪問診療をうまく取り入れることができれば、歯科医院の収益増が期待できます。 
また、訪問診療を通して、より地域に密着した医療活動を行うことは、社会的にもたいへん意義のあることです。 
今回は、訪問歯科診療がもたらす“患者・医院・地域、三方よしのメリット”をご紹介します。
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訪問歯科診療はメンテナンスが中心 

患者の自宅や老人福祉施設などにドクターや歯科衛生士が訪問する、訪問歯科診療。 
診療においては、次のようなことを行います。 

・口腔ケアをする 
・入れ歯を調整する 
・虫歯を治療する 
・嚥下、摂食などのリハビリを行う 

通院が困難な患者には治療計画を立て、長期に渡って継続的に診療を行います。 
定期的な診察とケアが実施されると、虫歯になることはほとんどありませんから、必要な治療を行った後は、入れ歯の調整口腔ケア嚥下のリハビリなどのメンテナンスが中心となります。 

医院に通えない患者さんにとって、適切な口腔ケアがなされ、口の中がさっぱりしたり、入れ歯の具合がよくなったりすることは、大きな喜びとなります。 
家族や介護職員との交流も生まれ、より多くの方に喜んでもらえることも、訪問歯科診療の醍醐味ともいえます。 


診療の空き時間を使って収益を上げる 

訪問診療を歯科の午前診と午後診の間に行えば、空き時間を有効に活用することができ、外来診療はそのままに収益増が期待できます。 
メンテナンスが主となるため、訪問に必要な機器にかける費用も少なくて済むでしょう。 

訪問診療においては、通常の診療と同様に歯科衛生士の存在が重要となります。
メンテナンスは歯科衛生士が主に行うことが多いためです。 
午前10時頃から夕方までは、子育て中の歯科衛生士にとっても働きやすい時間帯です。 
その時間に訪問診療を導入すれば、勤務時間がネックとなっている歯科衛生士でも職場復帰がしやすくなります。 

ここで、神奈川県横浜市の歯科医院の例をご紹介します。 
こちらの医院では、高齢の患者の割合が多くなったことから訪問歯科診療を始めました。 
導入にあたって歯科衛生士が主となる部分が多いため、訪問歯科診療を任せられる人材が必要となります。 
そこで、院内の教育として、外来から訪問歯科診療へとステップアップできるプログラムを取り入れました。 
取り組みの結果、空き時間の有効活用ができ、ドクターの負担は増やさず収益が増えるという効果が得られました。 
さらに、“向上心のある優秀な歯科衛生士の教育と確保”という、人材面でのよい循環が生まれています。 


高齢者の健康支援で地域に貢献する 

訪問歯科診療の際に摂食・嚥下のリハビリを行うことは、肺炎予防にもつながります。 
肺炎は日本人の死因の第3位で、その数を押し上げているのが高齢者に多い“誤嚥性肺炎”だと考えられています。 
そのため、訪問診療で誤嚥性肺炎の原因となる嚥下障害や歯周病をケアすることは、医院に通える人だけでなく、その地域に住む多くの高齢者への健康支援となります。 
それに加え、肺炎治療にかかる膨大な医療費の削減にもなります。 

大阪府交野市にある歯科クリニックでは、地域の医療機関や老人福祉施設と連携し、訪問歯科診療を行っています。 
口腔ケアと一緒に摂食・嚥下のリハビリを行うようになり、訪問歯科診療を依頼されることが増えました。 
自分の口で食べられることが生きる活力になっている」と、患者本人や家族、老人福祉施設の職員から喜びの声が上がっています。 

訪問歯科診療は、地域の医院やケアマネジャーを経由した紹介が多くなります。 
そのため、ケアマネジャーとの関係や、地域の医院のドクターとの連携が非常に重要なものとなります。 
一方、これまで自院に通院していたけれど来院がむずかしくなった患者を、訪問して診療することも可能でしょう。 
そのためには院内にポスターを貼るなど、患者や家族に対して訪問歯科診療をアナウンスすることも大切なポイントです。 

患者や地域医療に貢献しながら歯科医院の経営にもプラスに働く、訪問歯科診療。 
一度検討してみてはいかがでしょうか。 


※本記事の記載内容は、2019年7月現在の法令・情報等に基づいています。