税理士法人 早川・平会計

より高い日本語能力が必要に? 在留資格『技人国ビザ』の改正

26.08.25
ビジネス【法律豆知識】
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グローバル化が進むなか、日本で働く外国人労働者が増えています。
そのようななか、専門的なスキルを持つ外国人が日本で働くための代表的な在留資格「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」の運用が、2026年4月に一部変更され、客観的に日本語能力を証明する資料の提出が求められるようになりました。
これから外国人を雇用する経営者だけでなく、職場で外国人と働く日本人労働者にも関係する改正といえます。
外国人材の採用や受け入れに関わる日本人に向けて、技人国ビザがどのように変わったのか解説します。

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在留資格『技人国』の対象となる職業

外国人が日本で就労などの活動を行うには、目的に合わせた「在留資格」を取得する必要があります。
現在、在留資格は日本で行う活動や身分・地位に応じて29種類が定められています。
これは、無制限に就労を認めるのではなく、専門的な技能を持つ人材を受け入れる一方で、国内の労働市場とのバランスを取るための仕組みでもあります。

その29種類のなかでも、在留者数が多く、現在も増加傾向にあるのが「技術・人文知識・国際業務」という資格です。
頭文字をとって「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれているこの資格は、外国人が専門的な知識や技術、語学力などを活かして日本で働くための代表的な在留資格です。

出入国在留管理庁によれば、在留資格のなかで、技人国は「永住者」に次いで多く、2025年末の時点で、47万5,790人でした。
具体的な職種としては、システムを開発するITエンジニア、自動車や機械の設計者、企業の経理や海外向けマーケティングの担当者、語学学校の講師、通訳や翻訳といった職業が該当します。

一部の対人業務では日本語能力証明が必要

この技人国について、2026年4月15日以降の申請から運用ルールの一部が変更されました。
具体的には、所属機関などを4つに分類した区分のうち、「カテゴリー3」および「カテゴリー4」に該当する所属機関において、新しい提出書類が追加されています。
カテゴリー3・4には、中小企業や設立されて間もない企業などが該当する場合があります。

そして、今回の改正で最も大きなポイントは、翻訳・通訳やホテルのフロント業務など、主に言語能力を用いる対人業務に従事する場合、業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の能力を証明する資料の提出が必要になったことです。

これまでは、対人業務であっても明確な証明書の提出までは求められず、提出された事業計画や職務内容などの総合的な審査のなかで日本語能力が確認されていました。
しかし、改正後は国際的な言語評価の基準である「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」において、準上級レベルにあたる「B2」相当の日本語能力を持っていることを証明する必要があります。

では、CEFRのB2相当とは具体的にどのような条件を満たせばよいのでしょうか。
いくつか明確な基準が設けられており、いずれかに該当すれば、B2相当の日本語能力を有するものとみなされます。
代表的なものとしては、日本語能力試験(JLPT)のN2以上に合格していることや、BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得していることがあげられます。
また、試験の点数だけでなく、長期的な生活実態や学歴も評価の対象となります。
中長期在留者として20年以上在留している場合や、日本の大学、高等専門学校、専修学校の専門課程などを卒業または修了している場合も、基準を満たしたとみなされます。
さらに、日本の義務教育を終えて高等学校を卒業している外国人も、十分な日本語能力があると評価されます。

今回の変更は、主に提出書類の追加と運用の明確化を目的としたものですが、日本の労働環境全体で見れば、言語能力を用いる対人業務について、必要な能力の確認がより明確になると考えられます。

外国人労働者を雇用したいと考えている日本人経営者にとっては、採用時のスキルチェックがより重要になります。
営業や接客など、日本人顧客と直接関わるポジションで採用する場合、内定を出した後に必要な在留資格の許可が得られない事態を防ぐためにも、事前に要件を満たす日本語能力の証明資料を用意できるか、確認しておきましょう。

また、外国人労働者と同僚になる日本人労働者にとっては、業務の円滑化が期待できます。
言葉の壁による意思疎通の行き違いや、細かい業務上のニュアンスが伝わらないといった現場のストレスは、これまで多くの職場で課題となっていました。
しかし、対人業務に就く外国人が必要な日本語能力を備えていることを確認できれば、業務の引き継ぎや日常的な相談もスムーズに行えるようになります。
言葉が通じることで、お互いの文化や考え方を理解し合うための対話もしやすくなるでしょう。

技人国における日本語能力要件の明確化は、外国人が日本社会でより円滑に働き、実力を発揮するための環境整備の一環といえます。
多様化が進む日本の労働市場において、ルールの変化を正しく理解することは、企業を運営する経営者のみならず、共に働く日本人労働者にとっても押さえておきたい大切なポイントの一つです。


※本記事の記載内容は、2026年8月現在の法令・情報等に基づいています。